海外で暮らしていると日本のことを説明しなくてはならない状況になることがしばしばある。何をどう説明していいのかすらわからないことがしばしばなのであるが、それでも、なんちゃって日本人としてとりあえず何かコメントしなくてはならない。言葉(英語)に詰まり、まわりの視線を痛く感じることはしばしばある。私の受けた英語教育はやはり受身の読み書き教育だったから、日本に関する話題を日本語以外の言語(英語)で説明するというのは、海外で暮らして必要に迫られて初めて経験する難関なのである。
とりあえず虎の巻をと思い、最近読んだのが「日本-その姿と心-」である。これは日本語と英語との対訳になっていて日本の自然・経済・政治・文化が一通り触れられている。広く浅くという感じの本なので余り面白みはないのだけれど、我ながら知らなかったこともあったのでまずはそれを書きとどめておこうと思う。
・人口一万人あたりの研究者人口世界一(P.276)
日本の場合、研究者の中には博士課程の院生が含まれているとは思うけど、それでも世界一の割には成果が上がっていない感じがする。分野によるかもしれないけれど、私の感覚ではフランスの方が研究者の層が厚そうな感じがするのはなぜかだろうか。
・文化庁の統計によると神道・仏教・キリスト教の人口を合計すると日本の人口の2倍になり外国には例がない(P.340)
さもありなんという感じですね。Zenの精神というのをこちらでよく聞かされるのですが、日本人の私ですらピンとこなかったのです。どうやらここでは忍び難きを耐えるときなどに使われる言葉のようです。フランス人の友達は仏教は宗教ではないと言います。哲学だと。
・日本の一人あたりのタバコ消費量は世界一(P.390)
これはかなり意外です。ウィキペディアを見ると日本は世界4位になっているけど、モンペリエにいるとタバコを吸っている人はそこら中にいるので、フランスの方が消費量が多いと思っていました。
・ポン酢は外来語
ポン酢ってポンカンの果汁に酢を加えたものに由来するのかと思ってましたが、実は外来語のようです。
このような内容はとりあえず楽しめたのだけれど、日本を説明しなくてはならない状況に追い込まれたときにこの本が役に立つかどうかは微妙なところです。
対照的な本に仏文日本絵とき辞典VIE AU JAPONというのあります。この本は「地球の暮らし方」に紹介されていて離日前に購入してフランスに持参した本なのですが、意外と役に立つことがありました。私のフランス語の能力ではとても自分で説明はできないのですが該当するページを開けて見せてあげるだけでかなり効果がありました。皆さん興味津々で、これはどこで買ったのかと聞かれる始末でした。マンガチックな絵が多用されていてとても読みやすいですし、ポケットサイズで気軽に持ち歩けるのもいいところです。