日曜日, 8月 30, 2009

再びのモンペリエ

 七月にモンペリエ(Montpellier)から引っ越して以来、はじめてモンペリエに戻りました。出張だったので全くのんびり過ごす時間もなく慌ただしく過ぎました。夜に着いたのですが、ちょうど夕涼みをするにはよい気温でとても気持ちいい夜でした。ボルドー(Bordeaux)はまだ8月ですが夜になると寒くて寒くて上着が必要です。やはり夏はある程度暑くないと寂しいものです。
 翌日、帰る前にワインを買いました。やはり南仏のワインの味が忘れられないのです。ボルドーのワインは総じて悪くないですが、上品な反面、なんか物足りなさを感じてしまいます。幸か不幸か私の舌は南仏の味に最適化されてしまったようです。初めて過ごす環境はやはりとても重要なのでしょう。余談ですがこれは味覚に限ったことではなく卒研でどこの研究室に配属されるかも、その後の人生に大きく影響します。
 昼食は時間がなかったのでKEBAB屋さんで軽くすませました。サムライ(Samouraï)ソースなどというものがあったので興味本位で頼んでみたのですが、マヨネーズに唐辛子が混ざっているようなピリ辛系のソースでした。これはこれでおいしかったですが唐辛子とサムライの関係が今ひとつ不明です。
 モンペリエの太陽はやはり強く昼間はとても暑いものです。でも風がとても気持ちいい。からっとした風と抜けるような空がすべてを忘れさせてくれます。町なかの雑踏にあるにもかかわらず、どうしてこんなに気持ちが良いのか不思議なのです。

SNCF

 モンペリエ出張はSNCF(フランス国鉄)に乗っていきました。ボルドーからは4時間とちょいの列車の旅です。順調に行けばの話です。線路の上で突然、数時間止ったりすることもありますから、日程には余裕を持って計画するか、行き当たりばったりで運に身を任せることになります。ちなみに私の乗った電車は15分遅れました。前日モンペリエへ向かった院生の電車はNarbonne(ナルボンヌ)で2時間ほど止ったそうです。そしてモンペリヘからボルドーへ戻る電車は1時間15分ほど遅れました。幸か不幸かよく遅れる旅でした。
 トイレの扉は閉まらないままだったし、お世辞にもきれいとは言えないし、やはりJRが素敵に見えてしまいます。車内販売のワゴンもたまに通路を通っていきますが、たいがい男性がワゴンを押していますが、商売気はなく無言で静かに通り過ぎていきます(寝ている人を起さないための配慮かもしれませんが・・たぶん違うと思いますがね)。
 電車の行き先を書いた紙が窓に張ってあるのですが、これもたまに違っていることがありますので、何が正しいのか直感が頼りになります。以前マルセイユ行に乗ったときにふと窓を見てアビニョンと書かれていて乗り間違えたかと慌てたことがありますが、マルセイユまで行ってくれました。
 ホームまで誰でも自由に入れるのはSNCFの良いところですが、そのおかげで恋人たちは出発直前まで熱烈なキスを交わすことが可能になっています。
 日本の感覚でいるといろいろな点がかなり異常に見えるのですが、フランスではこれが普通というか、誰も怒りもしません。電車に登ることは禁止されていますという注意書きがあったり、落書き(芸術?)がそこら中に目についたり、いろいろ観察するのもお国柄の違いがわかって楽しいものです。

PRÉFECTURE DE GIRONDE

 Gironde(ジロンド)県の県庁まで滞在許可証をもらいに行ってきました。ひと月ほど前にすでに呼出し状が届いていたのですが、なかなか機会がなくて町まで出ることができなかったのです。ちょうどモンペリエに出張することになったのでBordeauxに出るついでに県庁まで行ってきました。呼出し状に書かれていた県庁の住所について前日にGoogleでだいたいの位置をつかんでおきました。当日は適当にトラムを数駅前で降りて歩きました(街は歩いた方が楽しいので)。県庁への道路標識も出ていて何の問題もなくたどり着いたまでは良かったのですが、行ってみると県庁は引っ越したとの張り紙が・・・。あまりにもフランスらしいので思わず苦笑いしてしまいました。まぁ時間に余裕がある時は笑ってられますがね。滞在許可証の窓口は29 rue Castéjaとのことです。Googleでしらべてみると北の方向へ行けばいい感じなので、あとは持参したボルドーの地図を頼りに歩きました。途中交差点で地図を広げてみていると、「何か探しているのか」と助けてくれる人がいたので、とりあえず「県庁に行きたいんだけど」と試しに言ってみました。案の定、引越前の場所を説明してくれました。県庁が引っ越したということはフランス人でさえ知らないようです。まぁ県庁はフランス人でさえ行きたがらない場所ですし、たいていの人は行く必要がないでしょうから知らなくて当然と言えば当然かもしれません(道路標識でさえそのままだったし)。

火曜日, 8月 25, 2009

Pyla

 週末Pylaというところへ職場の友達と遊びに行ってきました。 そこは大西洋に面する砂丘地帯でした。Pylaと言われても何のことだか想像もできず、とにかくついていったというのが正直なところです。かなり有名な観光地らしく、屋台などの出店(夏場だけらしいけど)もあって結構な人出でしたが、とにかく広い場所なので一度砂丘に登ってしまえば、それほど人混みを感じることはありませんでした。

これはちょうど砂丘を登り切ったところで陸側を望んだものです。広大な森林が広がっています。Bordeaux方面から車で来る途中もずっとこんな感じで道の途中は見渡す限りの森林地帯でした。製紙会社の工場があったり、山火事を監視する塔があったりするくらいでした。一旦山火事が起きると打つ手はないようですが、最近は道路が増えたり森林の区画ごとに溝を掘ったりして延焼を食い止める策がとられたりして多少効果があるとかないとかフランス人の友達が説明してくれました。


砂丘の砂はとても細かくてとても美しいのです。こんな砂丘を歩いたのはたぶん生れて初めてだと思いますが、裸足で歩くととても気持ちいいものです。この砂丘を転げ落ちてしまう人もいるらしく死者も出るようなのですが・・・。



 森林地帯の反対側には大西洋が広がっています。初めて見た大西洋。少し感動です。でも風が強い。本当はとても暑いのだろうけれど、強い風のおかげで、日差しは強くてもそれほど暑くは感じません。この強い風のおかげで砂も細かくなるのかもしれません。この砂丘は毎年すこしずつ動いているらしいです。登った砂丘を下って海に入ってみました。海の水がとても冷たいのです。しかも波の力が強くてあっという間に流されてしまいそうな感じがしました。日本の海で最後に泳いだのは遙か昔なので、よく思い出せないのですが、海で危険を感じたことはなかったと思います。自分のなかの海に対するイメージが少し変わった感じがします。日本に帰ったら日本の海に行って泳いでみたくなりました。

 
大西洋に沈む夕日です。8:40PMくらいです。
この日は砂丘に登ったり、海に入ったり、ラケットという羽子板遊びのようなものに付き合ったりと、とても疲れました。
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月曜日, 8月 17, 2009

きいろの香り

 「きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち」 と題する本を読みました。
ワインの香りの研究に一生を捧げた富永敬俊博士の研究日誌とでも言える内容です。白ワインの発する香りについて化学的な説明が書かれているのですが、それが巧みなたとえも使ってとてもわかりやすく書かれていて、飽きることなく最後まで読むことができました。小鳥の話は第5章までお預けなのですが、これはとても感動的な物語でした。研究の話については、その試行錯誤の過程が手に取るように感じられて、ワクワクどきどきし、時に落胆したり、喜んだりする姿は、研究業界に身を置く人にとっては他人事ではないと思われます。それが本当によく伝わってくるのは著者の文才のなせる技なのでしょう。私は読みながら何度も声を出して笑ってしまいましたが・・。上司や同僚との人間関係もそれとなく書かれていて、時にとても人間くさいところもあり、Blogを読んでいるような錯覚に陥るところが好感の持てるところです。この本が日本語で書かれたと言うことに一因があるのかもしれません。異国の地で三十半ばにして大学院に入学し学位を取得し職を得るには様々な障害があったに違いありません。それでもフランスの「海が私を呼ぶから、私はここにいます」と、富永博士は言います。とても詩的な表現ですね。

水曜日, 8月 12, 2009

 先月まで住んでいたモンペリエとは違ってボルドー地方は雲が多いです。雨も多く、雨が降ると肌寒いくらいです。モンペリエの青空が恋しいところです。でも雲にもいろいろあって青空を少し飾ってくれる、そう思えることもあります。

引っ越してちょうど一ヶ月になりますがあっという間でした。

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