「きいろの香り ボルドーワインの研究生活と小鳥たち」 と題する本を読みました。
ワインの香りの研究に一生を捧げた富永敬俊博士の研究日誌とでも言える内容です。白ワインの発する香りについて化学的な説明が書かれているのですが、それが巧みなたとえも使ってとてもわかりやすく書かれていて、飽きることなく最後まで読むことができました。小鳥の話は第5章までお預けなのですが、これはとても感動的な物語でした。研究の話については、その試行錯誤の過程が手に取るように感じられて、ワクワクどきどきし、時に落胆したり、喜んだりする姿は、研究業界に身を置く人にとっては他人事ではないと思われます。それが本当によく伝わってくるのは著者の文才のなせる技なのでしょう。私は読みながら何度も声を出して笑ってしまいましたが・・。上司や同僚との人間関係もそれとなく書かれていて、時にとても人間くさいところもあり、Blogを読んでいるような錯覚に陥るところが好感の持てるところです。この本が日本語で書かれたと言うことに一因があるのかもしれません。異国の地で三十半ばにして大学院に入学し学位を取得し職を得るには様々な障害があったに違いありません。それでもフランスの「海が私を呼ぶから、私はここにいます」と、富永博士は言います。とても詩的な表現ですね。
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