日曜日, 12月 01, 2013

「エピゲノムと生命」太田邦史著

 ブルーバックスの本である。前書き2ページほど源氏物語の話でスタートするのである。何の本を読んでいるのかわからなくなり、おもわず表紙を見返した。私は確かに「エピゲノムと生命」という本を読んでいる。源氏物語に登場する人物の衣装の話で始まるわけである。ここからDNAも裸ではなく服をまとっているという話の展開である。実に面白いと思った。前書きだけでなく随所にいろいろなたとえ話がでてくるのでイメージがしやすく最後まで読み通すことができた。
 親がどういう生活や子育てをしたかがエピゲノムに記録されるらしく(第9章 世代を超えたエピゲノムの継承)、「親がどのような生活をしたかで、子の人生に影響が及ぶというのが、科学的な根拠をもって語られる時代になってきた」(p253)とは、びっくりであった。育児放棄や児童虐待、社会の階層化までエピゲノムの影響があるとしたら、その影響を真剣に考える必要がありそうである。ただしエピゲノムの記録は可逆的で書き換えることもできることに「希望の光」がみえるという。