金曜日, 1月 02, 2009

大晦日

 大晦日の夕方、ホストファーザーからパーティに行かないかと誘われました。彼は奥さんの実家でクリスマスを過ごした後、仕事の関係で数日前にモンペリエに戻ってきていました。私は自分自身の仕事納めを終えたところで、かなり疲れていてそれとなく断りたい心境でした。しかし是非一緒にとのことだったので、フランス人の生態を観察する良い機会でもありますから遠慮なく参加させてもらうことにしました。

 2時間後の出発の時、私のために「これを持って行けと」、ホストファーザーはワインまで渡してくれました。本当にありがたいことでした(フランスではinviteされたらたいていワインを持参するようです)。彼は少しドレスアップしていて私はどこに連れて行かれるのかかなり不安になりましたが後の祭りでした。滞在中の日本人と言うことで許してもらうしかありません。そのまま普段着で出発でした(ドレスアップするような服も持ってなかったし)。ちょうど相棒が日本から送ってくれた煎餅があったので「これを持参しても良いか」と彼に聞いたら、それは良いとのことなので持って行っきました。

 まずフィリップの家に寄って彼らをピックアップしていくとのこと。フィリップの家に着くなり、棚からおもむろにリキュールを、そして冷蔵庫からワインを取り出し飲み始めるホストファーザー。ほとんど自宅のような感覚です。それから4人で乾杯。パーティに行く前にできあがってしまうのではないかと心配になりました。少しほろ酔い気分になったところで本日のホストの家に車で移動しました。

 ホストのお宅につくとまずホストの方や先に着いていた人からのお出迎えを受けました。女性とはビズを交わし、男性とは握手を交わします。これがおそらく20時少しすぎぐらいのこと。応接室のような広間でシャンパンで乾杯をして前菜を食べながらフランス人のマシンガン・トークにつきあいました。内容は聞き取れる単語から想像するしかありませんでしたが。たまに私に話が振られるのでそのときは必死に集中します。

 お煎餅を皆さんに食べてもらいましたがとても好評でした。お煎餅の形もおしゃれでなかなか良い感じでした。ただフランス人には塩味が足りなかったかも(彼らは結構しょっぱい物を好みます)。でも突然、パーティに誘われた時などは保存の利く煎餅は重宝します。

 メインディッシュとしていただいたのは生牡蠣でした。台所で殻を割ったばかりの物が皿に盛られて出てくるのでおいしいはずです。ただ殻を割りながらホストが匂いを嗅いて選別していたので心配でしたが大丈夫だったようです。私は生牡蠣が好きなのですが、たまにウィルスに負けてしまうことがあるのでいつも警戒しています。

 夜も更けて12時を過ぎると「明けましておめでとう」となるわけですが、ここでまた女性とはビズを交わして、男性とは握手をして新年を祝いました。そして皆さん、おもむろに電話をしています。家族に電話をしているようです。新年の挨拶なのでしょう。

 フランス人のマシンガン・トークは尽きることなく続くわけですが、実は皆さん(この夜集った8人)の出身がいろいろだと言うことがわかりました。私のホストファーザーがモロッコ出身であることは知っていましたが、スペイン、アナバ(アルジェリア)、コンスタンティンヌ(アルジェリア?)、ブルガリア、そしてフランス人と称するホスト自身もスペインとイギリスのハーフとのこと。そして残る1人もセネガルで17年暮らしていたようです。これがフランスの実態なのか、それともこの集団が異常なのかはよくわかりませんが。チーズとアイスを最後にいただくまでワインをずっと飲みながら話し続けたのでした。

 それからまた応接室に移動してこれからが大変でした。スペイン出身の女性が歌い始めます。その細い体のどこから声が出るのかと思うほどいい声で歌うので感動しました。足でリズムをただ取るだけでノリの良い歌を次々歌います。私はかなり睡魔に襲われながら耐えていたら、日本の歌を歌ってくれとのリクエストが・・・。日本にいてもカラオケにも行かないし歌を歌うこともなく過ごしていたので、何を歌って良いのかもわからず、ふっと思いついた「蛍の光」を歌いました。歌詞も途中間違えていたと思いますが、誰もわからないでしょうから気にせず歌いきりました。ブルガリアの女性もお国の歌を歌いました。最後にスペインの女性と私のホストファーザーが歌いながら踊り、解散となりました。皆さんとビズや握手をして帰宅したのが午前3時40分!ホストファーザーは50代だと思いますが、よく食べるし飲むし、実に元気な方です。これがフランス人の一般的な大晦日の過ごし方なのかどうかは、かなり疑問なのですが、刺激的な一晩でした。