木曜日, 11月 27, 2008

映画祭り

 知り合いの日本好きのフランス人に誘われて日本映画を見に行ってきました。第3回FESTIVAL DU FILM JAPONAISなるものが行われているようです。6ユーロでしたから日本より安い感じです。見たのは「めがね」。登場人物がみんなめがねをかけていました。ずっとメガネの意味を考えながら見てしまいましたがそのメガネには特に意味はなさそうです。南の島が舞台であることはすぐわかりました。主人公は「○空港」に降り立つのですが、○の部分が微妙に欠けていてロケ地はどこなのかと想像力がかき立てられました。
 スクリーンの下部にフランス語の字幕が出るのでどう訳されているのか興味をもって見ていました。映画の中で、かき氷を食べた後、「ごちそうさま」と言って器を店の主人に返すのですが、フランス語訳は一通りではなく「おいしかった」とか「ありがとう」と訳されていました。「おいしい」にもいくつかの単語が使われていたのは少し新鮮でした。反対に「いただきます」は教科書通りフランス語と日本語でほぼ一対一の対応になっていました。
 日本語では主語がなくても文が完結しますが、フランス語には必ず主語が必要で、これまた日本語を勉強するフランス人にとってはとても難しいのだそうですが、やはりフランス語の字幕では主語が補われていました。映画では初っぱなに「来た」とだけ登場人物がつぶやくので、飛行機の映像と合わせて何が来たのかを想像力をたくましくして考えますが(プロペラ機だったので戦時中の物語なのだろうかとすら考えてましたが)、フランス語の字幕に「彼女が来た」とはっきり書かれているのをみてしまうと、少し興ざめしなくもないですね。
 文化的なことからすると、映画の中では食卓を囲んで登場人物たちが、おそらく単に茹でただけの大きなエビ丸ごとをテーブルの上で素手で頭胸部を取り、殻をむきながらかぶりつくシーンがありますが、手の込んだフランス料理をナイフとフォークで上品に食すであろうフランス人がどういう気持ちで見ていたのか大変気になったところです。
 もっとも笑えたのは「メルシー体操」なる不思議な体操でした。体操それ自体も不思議ですが、何をもってこのネーミングに至ったのかを考えると、これまた想像力をかき立てられます。字幕では予想通りMerciと訳されていましたが、本当にMerciでよいのでしょうか。方言に「めるしい」とか「めるし」という言葉がないかと思い検索しても特にそれらしいものは見あたらないようです。まさかですが「ヘルシー」が訛ったものでしょうか。Merciはフランスにいると一日に何回となく使う言葉ですので初めて聞いたときには、日本映画から何でフランス語が、と耳を疑いました。