土曜日, 1月 16, 2010

Atlas

 マラケシュの喧噪を逃れるべくマラケシュで泊った宿の主人にAtlas方面へ行くツアーがないか訪ねたら、さっそくツアーを計画してくれてAmizmizという場所にある宿も予約してくれました。どうやら夫婦で切り盛りしているようでAmizmizの宿には奥さんが常駐している感じでした。半日タクシーを借り切りアトラス山脈を眺めながら山岳地帯まで走りました。モロッコの国旗は赤地に緑の星なのですが、

道すがら、それを象徴するような風景に出会いました。赤い大地とそこに点在する緑です。そして本来の建物の色はその場所の土の色なのです。



川沿いから少し外れて台地に上がると風景が変わってしまいました。広大な畑が広がってはいるもののアトラスを背後に荒野が広がっていました。雨が降ると畑が緑に覆われるのだそうです。見てみたいものです。

 到着した宿は、こんなところに宿があるのかと思うような場所に広がるオアシスでした。マダムが宿の農園を案内してくれました。畑にはいろいろな野菜や果物(オリーブ、ザクロ、レモンなどの柑橘、ブドウ、ナツメヤシ、ナスなど)が栽培されていて昼間にプール()で貯水した水が夜の間に放水されて畑が潅水されているとのこと。

プールサイドでマダム自ら日向ぼっこしています。私もせっかくなので雪化粧したアトラスを見ながら水浴びしました。水は冷たかったですが、十分プールに入りたいと思うほど日差しは強く暑いです。

 この農園ではさらに鶏をはじめ牛、羊、山羊まで飼われていました。牛は地元の牛とホルンシュタインそしてそれらを交配した雑種の牛でした。やはりホルンシュタインから最も多くミルクが取れるようで毎日20L程になるようです。チーズも造っているようですがあまったミルクは組合で売っているとのこと。常時は総勢12人ほどで運営しているらしく収穫期には20人ほどになるそうです。このご夫婦はベルギー人らしいのですがモロッコとの関わりは30年前に遡るとのことでした。

 パラソルの日陰に入りアトラスを見ながらのんびりと昼食をいただきました。シンプルな食事(でもとてもおいしい)ではありましたが、仕事のことや将来の夢など連れ合いと話しながらとても豊かな昼食のひとときでした。


夕方は夕焼けがとても美しく、そして夜は満月の月明かりにアトラスの雪が照らしだされてとても神秘的でした(写真に撮れないのが残念なのですが)。

 子供の頃からこういう農園生活にあこがれながらも気付けば全く別の世界に生きています。私にとっては夢でしかない生活、まさにそのものを実現している人を見てとても感動しました。私は「土に根を下ろし 風と共に生きよう 種と共に冬を越え 鳥と共に春を歌おう」というシータの台詞に憧れるのですが、それを地で行える場所でした。
 自分もささやかながら誰かに感動を与えられるような仕事・生き様をしたいと改めて思ったものです。忘れかけていたものを思い出すことができました。

マダムには農園を案内していただいたり、地元のマルシェに連れて行っていただいたりいろいろお世話になりました。最後にマダムが言っていた言葉を紹介します。この農園の近くに近代的で少し豪華に見える宿(建設中)があるのですが、それを見ながらマダムが言った言葉です。
「ヨーロッパ人が何を求めているのかわかってないのよ。」
やはり部外者だからこそ見いだすことができる価値があるのでしょう。
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