先週と今週は二人の友達の学位論文の発表会(Soutenance)を見てきました。発表会は公開で行われるので誰でも聴講できます。はじめに審査委員が名前と所属を言って聴衆に自己紹介します。それから研究発表が40~50分くらいあり質疑応答になりますが、質疑応答も一時間ほどになります。
審査委員会の構成は指導教官(Directeur)が1人と副指導教官(Co-Directeur)が1-2名でRapporteurとExaminateurと呼ばれる人が各2名ほど、計6-7人で構成される感じです。フランス人から聞いた話なのですが学位審査を受けるためにはまずRapporteurに審査の2ヶ月くらい前に論文を見ていただく必要があるのだそうです。Rapporteurが論文が学位授与に相当する内容であると判断したら、Examinateurを交えた審査会を設定できるようです。
最近(ここ4-5年)の傾向としてRapporteurの一人はかならずフランス国外の同業の(著名な)研究者にお願いするようです。これは少しうらやましいところです。発表と質疑応答は主にフランス語で行われますが、海外の研究者との質疑だけは英語になります。院生にとっては一時間の質疑をこなすのはかなりハードかもしれません。質疑は主にRapporteurとExaminateurが行い専門分野の一般的な知識を問う内容のもの(専門分野の研究の立案と遂行能力があるかどうか)と細かい内容の質問に分かれる感じです。細かい内容になると論文の○ページの××はどういうことかとか△△の方がよいのではないかとかというようなことになります。質疑応答の最後には指導教官と副指導教官がそれぞれ学生の研究内容・研究態度など私的な面も含めて講評を述べます。院生へのエールも含まれます。ここまでくると笑いも交えて和んだ雰囲気になります。最後に聴衆からの質問を受け付けますが質問できるのは学位保持者だけとのことです(でも質問する人はいないようです。「結婚は?」とか冷やかしが飛んだりもするようですが・・)。
以上で発表会は終わりで審査委員以外は会場の外で審査結果を待つことになります。時間にして10-15分くらいでしょうか(この季節寒い中、外で待たされます)。その後会場に再び戻り審査委員長(学部長くらいのひとらしい)が講評を述べたのち○○大学○○の学位を授与しますと宣言して終わりです(この瞬間会場から拍手です)。
その後、本人とその家族が主催する簡単なパーティが催されシャンパンなどが振舞われます。要するに審査会はよほど論文がひどくない限りパスできる前提になっています(とは言えども前日くらいから本人はかなりナーバスになっています)。審査会とその後のパーティには家族や婚約者(いれば)も参加します。ここまでの式次第はどの審査会でも同じようなものだそうです。その後は研究室の慣わしでまちまちとのこと。私の所属する研究領域では研究所の食堂に場所を移動して2次会があります。これは夜10時過ぎまで続くのです。